草むらのヒーローたち No.097

人生いろいろ、車生もいろいろ。

備後の道路脇で見つけた 朽ちゆく車たち。

凹み、錆び、コケ、ヒビ割れていても美しい 古き時代の宝物。

どんなドラマがあったのだろう…。

誰が呼んだか、草むらのヒーローたちを 小学6年M.Kくんが撮りました。

 

 

 

第97回


草ヒロ(廃車)data ■メーカー:東洋工業(現マツダ) ■車種:T2000(TVA12 標準10尺 2t積み) ■年代:1962年~1970年(受注生産1974年まで) ■場所:福山市北部


福山市北部の山あい、2町にまたがって再開発の進む産業団地予定地。
手入れが十分行き届かない里山も、様子一変、緑の大地は真っ茶色になり、まるで山が錆びていくよう…。
人の手により新たな時代に向け、新たな価値が創り始められています。
その団地予定地の奥の方の杉林の傍にひっそりと、そしてゆったりと体を休める独眼竜の彼がいました。
戦後の林業全盛期、高度経済成長を土台から支えてきた老兵T2000です。
私:バタンコじゃあ!!!!まさかオート三輪がおるとは!一度だけ走りょうるんを見たことあるんで!!
息子:えっ!? クルマなのに三輪車なん?
静寂な時間と空間の中に半世紀の時が凝縮した彼の姿は、四方八方、どこから見てもオーラを放ち、圧倒的な存在感です。
一見グロテスクな中にもノスタルジックな魅力が溢れています。
クルマの老いも人間と同じということなのか。
貫禄や渋さを通り越し、その勇姿には風格さえ漂い、神々しい印象です。
私:今じゃさびれてオンボロロ オンボロボロロ~♪ 見事な朽ちっぷりじゃのぉ、ええ顔しとるで。
息子:ラピュタのロボット兵みたいじゃない?
トレードマークの、まるで灰色のようなリバーブルーの体は錆びていくけど、それこそが鉄の自然界での本来の姿。
錆の中に秘められたロマンやエネルギーが“バタバタ”と伝わってくるようです。
歴史が流れ、錆の塊となっても老兵は死なず、役目を終えただただ静かに鎮座する姿は、衰えゆくものの無常な世界。
この杉林の中だけは再開発や人間社会の出来事など目もくれず、周りとは違うゆっくりとした時間が流れ、不思議な空間が広がっています。
親子:自然とともにひっそりと生きながらえてくれぇよ。また会いに来るけぇな。

ちょっとうんちく


wikipediaより抜粋

マツダ・T1500およびT2000は東洋工業(現マツダ)が、かつて生産・販売していた小型三輪トラック(オート三輪)である。
歴史
•1957年、オート三輪のモデルチェンジ(8月に2トン車HBR型3座、11月に1トン・1.5トン車MAR型2座を発売)。1955年型で採用した2灯スタイルをさらに発展させた新デザインのクローズドキャビンを導入、バーハンドル式を廃し、右側丸ハンドルとコラムシフト・油圧クラッチを採用し、当時の四輪トラックに対抗できる仕様を備えた。エンジンのみ従来からの強制空冷2気筒を使用。
•1959年、これまでの空冷2気筒エンジンから水冷4気筒エンジンに変更すると同時に、車名がT1500となる。
•1962年小型車枠の拡大に伴い、エンジンの排気量を2.0Lに拡大、T2000となる。T1500のネーミングは弟分のT1100が引き継いだ。
•1974年の受注生産打ち切りまで、10年以上生産された。そのため、オート三輪の中では現存数も多い。
特徴
•水冷直列4気筒1985cc、全長6.08m、全幅1.84m、荷台長4.08m
•全長6.08mながら最小回転半径5.93mと小回りが利く為、現在でも幅広い分野で活躍している。
•三輪トラックでは最速の100km/hを誇る。

 

Memo
・フクロウのような味わい深い顔。
・オート三輪の最終完成型として8年間生産された。
・1965年6月改良時に小判型ミラーに変更され、燃料計がついた。
・年式不明だが撮影車は1962年~1965年5月までのモデルと思われる。
・最小回転半径5.1mと操舵輪が1輪のため、小回りがよくきき、さらに小型車扱いで4m超えの荷台が得られたりすることがオート三輪特有のアドバンテージとなり、材木業車を中心に支持を得て重宝された。
・昭和40年代に一世風靡しあちこちで大活躍したが、21世紀に入ってからは姿を見かけることは皆無となってしまった。
・バタンコと呼ばれて親しまれた。
・ロンパー(D2000)と同時デビュー。
・ベンチシート3人掛け、100km/hの表示メーター、変速レバーは右側、ステアリングダンパーは調整装置付き。
・撮影車は風化が著しく、朽ち果てたその姿は落武者のようで少々ホラーな感じがしました。屋根はなくドアもなく、荷台は骨組みのみ。フロア下のドライブシャフトやデフはしっかりと残っていた。
・運転席フロア中央には露出型のダルマヒーター、助手席ダッシュにはつかまり棒のようなものあり。
・木材運搬に大活躍した最長の13尺モデル(TVA32S)は4.08mという圧倒的な荷台長を持ち、全長は6mを超え、アオリのヒンジ数は7個を数える。
・特徴的な2眼のヘッドライトベゼルは片方のみ残っている。

 

 

 

主要諸元
車名 マツダ・T2000
タイプ TVA12
全長(mm) 5120
全幅(mm) 1685
全高(mm) 1920
ホイールベース(mm) 3270
トレッド(後)1455
荷台長(mm) 3130
荷台幅(mm) 1565
荷台深(mm) 376
車両重量(kg) 1555
最大積載量(kg) 2000
乗車定員 3名
最小回転半径(m) 5.1
エンジン 水冷直列4シリンダーOHV
総排気量(cc) 1985
圧縮比 7.0
最高出力(PS/rpm) 81/4600
最大トルク(kgm/rpm) 15.5/2000
主変速機形式 前進4段後進1段 2・3・4シンクロメッシュ
サスペンション (前/後) コイルスプリング/半楕円式リーフスプリング
クラッチ 乾燥単板式
タンク容量(l) ガソリン40・オイル4
タイヤ(前/後) 6.50-16-8PLT/7.50-16-14PLT

 

 

 

 

 

 

 

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※草むらのヒーローとは、旧車専門誌「ノスタルジックヒーロー」の人気読者投稿コーナーに由来する名前で、通称「草ヒロ」と呼ばれています。クルマ好きの間では草むらや空き地、山の中で放置され、ひっそりと朽ちゆく、もう動かないクルマたち(草ヒロ)を眺め、往年の活躍に思いを馳せ、情緒を感じる文化のようなものになっています。
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