草むらのヒーローたち No.096

人生いろいろ、車生もいろいろ。

備後の道路脇で見つけた 朽ちゆく車たち。

凹み、錆び、コケ、ヒビ割れていても美しい 古き時代の宝物。

どんなドラマがあったのだろう…。

誰が呼んだか、草むらのヒーローたちを 小学6年M.Kくんが撮りました。

 

 

 

第96回


草ヒロ(廃車)data ■メーカー:トヨタ ■車種:初代ハイエース H10系 デリバリーバン(5ドアデラックス 6人乗り) ■年代:1967年~1977年 ■場所:福山市北部


 

福山市北部、馬乗観音様の上り口近くを走行中、谷あいの向こうの牛舎の裏にひっそりと佇む1BOXが見え停車。
スラントしているリアのシルエットで10系であると確信しました。
さっそく農家のおじさんにアプローチし、快く応じてもらい、見せてもらうことに…。
おじさん:なんなら?あぁ、ヤギ小屋きゃあ。そっから勝手に入って見てええで。ヤギが突っ込んでくるけぇ、気ぃ付けぇよ。
私・息子:や、やぎごや???
会ってびっくり、大物草ヒロな上に、さらにヤギ小屋姿とは…。
半世紀以上前のレアで貴重な存在に、私たち親子は気絶寸前です。
いやぁ、本当に嬉しい。草ヒロ探索活動冥利に尽きます。
真っ青な空から命の源である大地に太陽光線が降り注ぐ。神聖なる白い生き物と、アイリッシュホワイトの彼の車体が眩く光り、よく映えている。
その信じ難い光景はまるで絵画かオブジェのようで、芸術的でさえあります。
人と動物と車、そして自然が寄り添って創られる造形美。
相対しなければ感じられない美しさと説明しようのないエネルギー。
ものすごい迫力です。これぞ草ヒロの美学。
終戦からの忙しさはとうに終え、今はあるがままに自我を消してゆく彼。
草ヒロ活用法の王道である倉庫としてではなく、なんとヤギ小屋として今なお現役で活躍中。
「廃エースじゃことの呼ばさしゃーせんで」と彼が言っているようです。
私:渋いのーや。さすがに今も昔も変わらんバンの王様じゃわ。
息子:すげっ!
おじさん:30年くりゃあ前に仕事の一服の場所として使ようて、その後雨がでぁ嫌いなヤギらぁの小屋として使いよるんよ。
クルマ→休憩室→ヤギ小屋と再利用されたモノコックの広い車内空間を持つ彼はリサイクル精神の鏡ですね。
朽ちるのは生き抜いた証であり、美しい。彼の素敵な車生を誇りに思いました。

ちょっとうんちく


トヨタ自動車75年史より
1967年10月に発売した「トヨエース」より小さい新型のキャブオーバータイプの乗用車・商用車。モノコック構造のボデーに前輪独立懸架を採用。モデル構成は、デリバリーバン(6名/3名乗り、500kg/850kg積み)、ワゴン(9名乗り)、コミューター(12名乗り、15名乗り)、トラック(積載量1,000kg、低床式、シングルキャブ)の4系列。ホイールベースは基本ボデーが2350mmで、トラックは2300mm、コミューターの15名乗りが2650mm。

エンジンは1.3リッター・56馬力(P)と1.5リッター・70馬力(2R)の2種類のガソリンエンジンを使用。ロングホイールベース仕様は救急車のベース車種としても使われた。1971年2月、1.5リッターエンジンを1.6リッター・83馬力の12R型に置き換えた。1974年3月、トラックに高床式モデルとダブルキャブモデルを追加した。

生産工場:本社工場、トヨタ車体(株)
販売会社:トヨペット店

車名の由来:語源はトヨエースに由来し、英語で「高級な」「より優れた」という意味の「High」と「Ace」の合成語



wikipediaより抜粋
ハイエース (HIACE) は、トヨタ自動車が製造・販売するキャブオーバー型の商用車及び乗用車である。
概要
1967年に発売を開始した。かつてはショートホイールベース(標準ボディ)やトラックもラインナップされていたが、現在それらは消滅しており、ロング、スーパーロング、ワゴン、ライトバン、コミューターのみとなっている。日産・キャラバンが長年の競合車種。

初代 H10系(1967年 – 1977年)
1967年2月
トヨエースの小型版として、FR方式のキャブオーバーレイアウトを持つ初代モデルのトラック発売。テールランプはリフレクター込み3色コンビネーションタイプである。エンジンはコロナと同じ1.3Lの3P型であるが、コロナの70psに対し、ハイエースでは低回転域のトルクを重視した56ps仕様となっている。
1967年10月
ワンボックスボディのワゴンを追加。エンジンはコロナと同じ1.5L・77psの2R型のみで、9人乗りのワゴンのみ。全幅以外の外寸とホイールベースは以後の4代目とほぼ同じ。ワゴンのリアドアはスライド式ではなく、ヒンジ式。
1968年4月
スライドドアを持つ6人乗りのデリバリーバンを追加。定員は前席3名・後席3名の2列シートで、最大積載量は850キログラム。左のみのリアドアは前述のとおりスライド式で、バックドアは跳ね上げ式とドロップゲート(あおり)を組み合わせた上下2分割式となる。
1969年2月
ホイールベースとリヤのオーバーハングを延ばした15人乗りと、先に発売されたワゴンをベースにした、4列シートの12人乗りのコミューターシリーズ(2ナンバー登録のマイクロバス)を追加。
1970年
安全対策を中心としたマイナーチェンジを行う。
1971年2月
マイナーチェンジでフロントグリルのデザインが変更(3分割→一体化)され、屋根にプレスのリブが付いた。このマイナーチェンジに伴い、テールランプはトラックが後に登場するY10系トヨエースと共通化に、ワンボックスが前期型では独立していた後退灯をコンビネーションランプと一体化されたデザインとなる。ワゴン、コミューターの1.5Lは、コロナと同様の1.6L、12R型に変更。ワゴンに1.3L搭載車追加。
1971年4月
コミューターのロングボディをベースにした救急車を、トヨタ・救急車(RH18V)として発売(Ambulanceのエンブレムを付した)。エンジンは2.0L・98psの5R型を搭載。スペースユーティリティに優れることから、以後はクラウンベースのトヨタ・救急車の代替を行った。
1971年11月
シリーズ初の1ナンバー登録車でもある、コミューターと同じホイールベースのロングバンを追加。
1972年10月
マイナーチェンジでフロントグリルのTOYOTAマークが右側のヘッドライト上に移動と同時にグリルのデザイン変更。バンに右側スライドドア装備の5ドアを設定。
1975年10月
最後の小変更で昭和50年排出ガス規制に適合。ワゴン廃止。1.3Lエンジン搭載車を廃止し、代わりに1.8L・95psの16Rエンジン搭載車を追加。バンのフロントドア以降を380mm伸ばしたロングバンを追加。タイヤ&ホイールは全車13インチから14インチにアップ。


 

主要諸元
車名 トヨタ・ハイエース・デリバリーバン 5ドアデラックス 6人乗り
※撮影車は1975年モデル
形式 H-RH12VFEDJ
全長(mm) 4310
全幅(mm) 1690
全高(mm) 1905
ホイールベース(mm) 2340
トレッド(前)1433 トレッド(後)1368
荷室長(mm) 1485
荷室幅(mm) 1385
荷室高(mm) 1290
車両重量(kg) 1315
車両総重量(kg) 2145
最低地上高(mm) 155
乗車定員 6名
最小回転半径(m) 5.4
エンジン形式 16R-J直列4気筒
総排気量(cc) 1808
圧縮比 8.5
最高出力(PS/rpm) 95/5600
最大トルク(kgm) 14
主変速機形式 前進4段後進1段
サスペンション (前/後) 独立懸架コイルバネ/半楕円板バネ
燃料タンク容量(l) 55
タイヤ(前/後) 6.00-14-6PRLT/8PRLT


パンフレットより

 


 

 

 

 

 

 

※懐かしい廃車たち(出来るだけ天然モノ)を小学生撮影隊と一緒にのんびりと探索・撮影・紹介している趣味コンテンツです。
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※草むらのヒーローとは、旧車専門誌「ノスタルジックヒーロー」の人気読者投稿コーナーに由来する名前で、通称「草ヒロ」と呼ばれています。クルマ好きの間では草むらや空き地、山の中で放置され、ひっそりと朽ちゆく、もう動かないクルマたち(草ヒロ)を眺め、往年の活躍に思いを馳せ、情緒を感じる文化のようなものになっています。
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