草むらのヒーローたち No.089

人生いろいろ、車生もいろいろ。

備後の道路脇で見つけた 朽ちゆく車たち。

凹み、錆び、コケ、ヒビ割れていても美しい 古き時代の宝物。

どんなドラマがあったのだろう…。

誰が呼んだか、草むらのヒーローたちを 小学6年M.Kくんが撮りました。

 

 

 

第89回


草ヒロ(廃車)data ■メーカー:ダイハツ ■車種:ハイゼット・5代目ハイゼット55ワイドバン(前期S60V) ■年代:1977年~1981年 ■場所:福山市北部


神辺町の県道から少し入った集落。
耕作地の真ん中に、いい錆夢気分でかれこれ30年近く休む彼がいました。
その凛とした姿は本当にすごく自然な佇まいで、見事に小春日和の景色に溶け込んでいます。
錆びまみれのボディには、かろうじて地元の酒屋さんと地酒の名前が読み取れ、配達車の面影を残しています。
昭和時代には繁盛していた酒屋さんも、令和の世ではほとんどなくなってしまい、この辺りも過疎化する一方です。今も現役時代も大切に労られながら働いてきたキミ。
本当にお疲れ様でした。
補色関係にある赤い錆びと青緑の雑草とのコラボレーションが逆に美しくも見え、畑とすごくお似合いです。
純正のプラスチックホイールとタイヤもしっかり残っていて、なんだかしんみりとくる懐かしさがあります。
親子共々、彼とはご近所さんだから特に気に留めることもなかったのに、最近なんとなく心惹かれるのはなぜでしょう。
侘び錆び…。
ゆっくりと時間をかけてじわじわと錆びて朽ちたボディ。
錆びるのはクルマにとって自然なこと…。
時の経過とともに古びて錆びをまとっているクルマは、ものの哀れや虚しさを感じたり、自分の思い出を重ねたり、ちょっと心に沁みますねぇ。
「滅びゆくものの美学」が草ヒロにはあるんです。

ちょっとうんちく


5代目バン
トラックに続きバンタイプも新規格軽自動車としてフルモデルチェンジ。荷室容積は先代比で約20%向上し、積載性と使い勝手の良さを向上。トラック同様、キャビンも拡大し、ゆとりある空間を実現しました。
全長:3,195mm 全幅:1,395mm 全高:1,625mm
ホイールベース:1,780mm トレッド:前1,190mm 後1,190mm
エンジン:水冷4サイクル直列2気筒SOHC
排気量:547㏄
最高出力:28PS/5,500rpm
最大トルク:4.0kg•m/3,500rpm
(スペックは代表例です)

ハイゼット55ワイドスライドバン スーパーデラックス(前期)

ダイハツ公式HP ハイゼット60周年特集より抜粋


5代目(S60P/S60V)

トラック S60P型
バン S60V型

・1977年6月
4代目モデルのボディサイズを拡大した「ハイゼット55ワイド」として登場。キャッチコピーは「軽の新星」。
・1979年4月
バンに乗用用途のカスタムEXを追加設定。
マイナーチェンジ実施。フロントスタイル、インパネを含めた内装を大幅変更。
・1980年
バンにハイルーフ追加。

wikipediaより抜粋


ワンポイント
・5代目S60ハイゼットは迷いに迷い、毎年のように顔つきを変化させた異色モデルであった。
・でっかくなったヤツ。軽自動車の大幅な規格変更により排気量(360cc以下→550cc以下)だけでなく、全長(3.0m以下→3.2m以下)、全幅(1.3m以下→1.4m以下)、全高が拡大された。
・全面刷新により荷室容量は20%向上し、エンジンは4サイクル化し、ボディも大型化した。
・2度のマイナーチェンジでテコ入れした割には、先代(S38)より短命だったのが残念なモデル。
・1978年よりダイハツエンブレムの背景が赤色に変更。
・1979年より後期モデルとなり、タヌキみたいなフロントマスクになる。内装を大幅チェンジ。
・4代目(1972年1月~1981年8月)、5代目(1977年2月~1981年3月)は軽限定免許ユーザーへの救済策のため併売されていた。
・愛着のハイゼット360(S38)、余力のハイゼット550(S40)、軽の新星ハイゼット55ワイド(S60)の3車種20タイプがハイゼットバカウケトリオとして販売されていた。

 

※懐かしい廃車たち(出来るだけ天然モノ)を小学生撮影隊と一緒にのんびりと探索・撮影・紹介している趣味コンテンツです。
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※草むらのヒーローとは、旧車専門誌「ノスタルジックヒーロー」の人気読者投稿コーナーに由来する名前で、通称「草ヒロ」と呼ばれています。クルマ好きの間では草むらや空き地、山の中で放置され、ひっそりと朽ちゆく、もう動かないクルマたち(草ヒロ)を眺め、往年の活躍に思いを馳せ、情緒を感じる文化のようなものになっています。
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