草むらのヒーローたち No.066

人生いろいろ、車生もいろいろ。

備後の道路脇で見つけた 朽ちゆく車たち。

凹み、錆び、コケ、ヒビ割れていても美しい 古き時代の宝物。

どんなドラマがあったのだろう…。

誰が呼んだか、草むらのヒーローたちを 小学6年M.Kくんが撮りました。

 

 

 

第66回


草ヒロ(廃車)data ■メーカー:トヨタ ■車種:カリーナバン 3代目 1600DX (5ドア4F) ■年代:1981年〜1988年 ■場所:井原市北部


「岡山の漫才番長」千鳥のノブの故郷でもある井原市北部の町。
吉備高原の南端に位置するここは町の大半が丘陵と山林である。
ロマンチック街道313から脇道にそれ、少し登った高原集落。
雑木林の奥で異様なオーラに充ちているヤツを発見。
予期せぬタイミングで予期せぬ場所に突っ込まれ置き去りにされるという憂き目に遭っている彼。
いろんな理由で撤去不可能なのかもしれません。
無謀な経営拡大なのか?時代の変化ゆえなのか?謎が深まります。
夜逃げ同然でこの場所へ来ざるを得ない困難な状況だったことだけは容易に想像できます。
定番DXの白いライトバンのボディには、赤色の鮮やかなコーポレートカラーの社名ロゴとキャッチコピーが、草ヒロ状態になった今でも存在感を示しています。
“おいしさと健康をお届けする”をモットーに製麺会社に従事してスーパーなどを飛び回り、大活躍していたんだろうね。
通常の草ヒロたちとは違い、色々なことを想像させてくれるキミ。
不本意この上ないだろうけど、どうにもならないことって人間の世界だけじゃなく車界にもあるということか。
「夏草や 働く車が 夢の跡」
「社破れて廃車あり、林春にして草青みたり…。」
日々忙しくストレスを抱え生きている現代のサラリーマンとダブり、なんだかジワリときます。
今では誰にも見向きもされず、身動きひとつせず、キミは一体何を思うのか?
せめて撤去なんて不埒なことは考えず、荷物満載で走る頼もしいキミの姿を想像してみようと思う私でした。
森林浴で自分自身を整えて静かに第2の車生を送っていってもらいたい。
困難に直面する中でも、きっと前を向くきっかけを得られるはずだから…。

ちょっとうんちく

 


車名の由来は英語で「竜骨座(りゅうこつざ)」という意味。
1981年9月に発売した3代目。4ドアセダン、2ドアハードトップに代わる3ドアハッチバッククーペ、ステーションワゴンの「サーフ」(1982年2月発売)、5ドアバンの4タイプのボデーバリエーションを設定した。

「セダン」と「クーペ」は異なるフロントデザインとし、ヘッドライトは「セダン」が角型4灯式を、「クーペ」は異形2灯式を採用。ワゴンの「サーフ」は「クーペ」と同じフロントデザインのスポーティな外観とした。

エンジンは、DOHC電子制御燃料噴射(EFI)の1.6および2リッター、OHVキャブレター1.8リッター、SOHC EFI 1.8リッター、SOHC1.5リッター、OHV1.6リッター(バン専用で、1983年5月に新1.5リッターと交代)の6タイプ。サスペンションは、フロントは全車ストラットで、リヤはEFI装着車にセミトレーリングアーム式独立懸架を採用し、他は5リンク式リジッドアクスルとした。ステアリングは先代までのボールナット式に代えて、ダイレクト感にすぐれるラック・アンド・ピニオン式を採用。1982年2月に1.8リッターディーゼルエンジンを、9月には、160PSの最高出力を発揮する4気筒DOHC1.8リッターツインカムターボエンジン(3T-GTEU)を追加。1983年5月、4気筒1600ccDOHCユニットは、2T-GEUを新世代型の4気筒DOHC16バルブの4A-GEUに代えた。1984年5月には小変更を実施した。

トヨタ自動車 75年史より抜粋


主要諸元
車名・形式 カリーナバン 1.8DX N-CAATV-AXMD5Y
全長(mm) 4385
全幅(mm) 1650
全高(mm) 1425
ホイールベース(mm) 2500
トレッド(前)1375 トレッド(後)1350
最低地上高(mm) 170
荷室内長(mm) 1660
荷室内幅(mm) 1345
荷室内高(mm) 825
車両重量(kg) 1085
車両総重量(kg) 1660(5人乗車時)
乗車定員 5人
登坂能力(tanθ) 0.29
最小回転半径(m) 5.0
エンジン形式 LASRE1C型ディーゼル4気筒直列OHC
総排気量(cc) 1839
圧縮比 22.5
10.0モード燃費(km/l) 24.0
最高出力(PS/rpm) 65/4500
最大トルク(kgm/rpm) 11.5/3000
燃料タンク容量(l) 59
使用燃料 軽油
燃料供給装置 ボッシュ式分配型燃料噴射ポンプ
ブレーキ(前/後)油圧真空倍力装置付ディスク/油圧真空倍力装置付リーディングトレーリング
ステアリング形式 ボールナット式
サスペンション(前/後)マクファーソンストラット式コイルスプリング/半だ円リーフスプリング
タイヤ(前後) 5.50-13-8PRLT

 

カタログコピーより
・スタイルがいい。顔がいい。足、さらにいい。社長さん、これは〈新しいバン〉です。スタイル一新、カリーナバン。ビジネスは、まず身だしなみから。
・広い。大きい。使いやすい。チーフ、これは〈働きものバン〉です。積みやすい、つまり降ろしやすい。ビジネス快調、カリーナバン。
・明るい。軽い。快い。マスター、これは〈らくらくバン〉です。操作しやすい運転席まわり。さわやかビジネス、カリーナバン。
・ゆったり、たっぷり、のびのびと。ご主人、これは〈くつろぎバン〉です。忙中、閑あり。ゆとりあり。快適室内、カリーナバン。
・1660mm、1345mm、825mmのひろびろ荷室。店長さん、これは〈ドンと大きいバン〉です。荷室スペース、ビッグ&ワイド。商品にやさしいカリーナバン。
・俊敏、パワフル、自在の足。若社長、これは〈走りのバン〉です。ビジネスもフットワーク。機動力あふれるカリーナバン。
・ビジネス快調、レジャー快適。新顔そろったカリーナバン。
・グレードは上からSG、DX、STD。
・このころのトヨタのキャッチコピーは『時代はTOYOTA』。

 

※懐かしい廃車たち(出来るだけ天然モノ)を小学生撮影隊と一緒にのんびりと探索・撮影・紹介している趣味コンテンツです。
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