草むらのヒーローたち No.053

人生いろいろ、車生もいろいろ。

備後の道路脇で見つけた 朽ちゆく車たち。

凹み、錆び、コケ、ヒビ割れていても美しい 古き時代の宝物。

どんなドラマがあったのだろう…。

誰が呼んだか、草むらのヒーローたちを 小学5年M.Kくんが撮りました。

 

 

 

第53回


草ヒロ(廃車)data ■メーカー:マツダ ■車種:コスモ 3代目 ジェンティールX 2.0i リミテッドバージョン(HB型) ■年代:1981年〜1990年 ■場所:福山市北部


繰り返す小雨、冬枯れの木々も初々しい新芽をのぞかせる3月上旬。
春が来ようとしている山奥を散策していると、荒れ果てた廃屋のほとりにドーバーホワイトの草ヒロが一台。
場違いなところにこんなダンディなセダンがいるとは…。
しかもこんなマイナーなヤツが…。
これはマツダのお膝元故の出来事なのか…。
カクカクな先進的スタイルに少し仰々しいリミテッドバージョンのオーナメント、世界初正立カセットオーディオを装備した未来チックなメカメカしいスイッチ類の並ぶインテリア。
すっごいクセのある特徴を持つ彼は、自らを“ジェンティールX リミテッドバージョン”と名乗っていました。
きっと素敵なダンディズムなオーナーの方がハッタリをかましながら乗っていらっしゃったことでしょう。
木目調パネルやオートスピードコントロール、イコライザー付きオーディオに電子制御フルオートエアコンと、ザ・80年代のハイソって感じが「実に面白い」の連発を誘います。
そんな彼に目を奪われ、長年連れ添った愛車を置いてけぼりにして浮気したムッシュたちの威勢の良さもどこにやら、今はずぶ濡れの落ち葉の服を着て寒風に晒された気弱な佇まいが哀愁を誘い、隔世の感がありますなっ。
おしまい。

 

ちょっとうんちく

 


3代目・コスモ(1981年 – 1990年)
1981年に登場した、3代目コスモは4代目ルーテェと姉妹車になった。ボディバリエーションは3種類を揃えたが、それぞれの登場時期は複雑で、まずは9月1日に2ドア・ハードトップが先行発売され、1ヵ月後の10月1日に4ドア・ハードトップ、2週間後の10月16日に4ドア・サルーン(セダン)とロータリーエンジン搭載車がそれぞれ時期をずらして発表された。空力に配慮されたデザインが特徴であり、ハードトップは4灯式のリトラクタブル・ヘッドライトを持つ。中でも2ドアのCd値は当時としては世界トップクラスの0.32を記録していた。CMソングは中本マリの「Sing Our Song Together」。
エンジンは当初、従来型と同じMA型4気筒2,000ccレシプロエンジン(EGIおよびキャブレター仕様)のみが先行発売されたが、2,200ccディーゼルエンジン(サルーンのみ)、12A型ロータリーエンジン(573cc×2)も10月16日の4ドア・サルーンと同時に追加された。
12A型ロータリーエンジンは新たに6PI(シックス ピー アイ)と名付けられた、6ポート・インダクションを採用、これは従来1ローターあたりプライマリーポート、セカンダリーポートと吸気ポートを2つ(2段階)設けていたものを、新たにセカンダリーポートをメインポートと排圧で開閉する補助ポートとに分割し、1ローター毎3ポート(3段階)、2ローターで計6ポートとしていた。これにより回転数や負荷に見合った吸気タイミングの最適化を図り、燃費や出力の向上を謳っていた。
1982年9月、12A型ロータリー・ターボ車を発売(ルーチェとともに世界初)。「全域・全速ターボ」と名付けられたこのエンジンは、1982年当時の国産車の中ではトップクラスの性能を誇り、1980年代に行われる高性能戦争へ先鞭をつけた。
インテリアでは、デジタルながら面積変化で情報を伝えるスピードメーター、サテライトスイッチの影響が見られるメーターナセル両端に配したエアコン、灯火類、ワイパーなどのスイッチ、カセットテープ(コンパクトカセット)を見せるデザインの正立型トランスポートを採用したカーオーディオ(三菱電機と共同開発、)シートバックの中折れ機構などに特徴がある。
自動車ジャーナリストの三本和彦は、1982年9月にコスモ・ロータリー・ターボを自動車ジャーナリスト3人で茨城県筑波郡谷田部町(現・つくば市)の日本自動車研究所において、谷田部24時間耐久テストを行った。高速耐久トライアルとしては2000GTによるものが有名であるが、6時間時点での2000GTの新国際記録210.42km/hを上回っている(最終的に2000GTは、72時間で平均206.02km/h)。
1983年10月、マイナーチェンジ。個性的なデザインからかルーチェともども販売が芳しくなく、4ドア・ハードトップのフロントマスクを一般的な固定式ヘッドライトへと変更した。同時に4ドア系に13B型ロータリー・スーパーインジェクション車を設定する。なお、2ドア・ハードトップは従来のリトラクタブル・ヘッドライトを継承した。キャッチコピーは「咲いてるオトコの。~BIG RUN」。CMソングは西松一博の「咲いてるオトコの。」。
984年9月、2ドア・ハードトップをマイナーチェンジ。「GT」以外の改良を行い、4ドア同様の固定式ヘッドライトに替えられる。
1985年5月、モデル末期のグレード整理とテコ入れとして、レシプロエンジン車に「ジェンティール」シリーズを投入。
1986年9月、ルーチェがモデルチェンジされるとともにコスモは4ドア・サルーンを廃止し、2/4ドアハードトップのみに整理。1990年4月のユーノスコスモ登場まで継続生産する。
1988年10月ボディーカラー一部差し替え
1990年4月、ユーノスコスモの登場により、3代目の生産終了。

※wikipediaより抜粋


 

・3代目コスモはシリーズの追加や仕様の変更を繰り返し、1990年にユーノス・コスモが登場するまで10年間販売され、異例の長寿モデルであった。
・今回撮影の車は1985年式でレシプロエンジン車にジェンティールシリーズに追加された時の4ドアセダンモデル(MA型4気筒2000ccエンジン4速ATドーバーホワイトカラー)。
・当時のCMコピーは「咲いてるオトコの。オトコの誇りが駆け抜ける。咲いてるオトコのコスモに、新たなる喝采。街が、パッと華やぐ。BIG RUN コスモ」
・CMにはPLAYBOYのバニーガールが華々しく出演。ソフィアレッドメタリックの4ドアHTジェンティールXが華麗に駆け抜けた。
・残念ながら大ヒットとはいかなかったが、マツダの意気込みが伝わる一台だった。

 

スペック
グレード ジェンティールX2.0i リミテッドバージョン
車両型式 HBSHE
重量(kg) 1170
全長(mm) 4640
全幅(mm)1690
全高(mm) 1340
ホイールベース(mm) 2615
エンジン型式 MA型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
10モード 9.8km/l
排気量(cm3) 1970
最高出力kW(PS)/r.p.m. -/120/5500
最大トルク (kgm/rpm) 17.0/3300
※エンジン最高出力はネット値です。表内では「 / / 」で表示しています。

 

※懐かしい廃車たち(出来るだけ天然モノ)を小学生撮影隊と一緒にのんびりと探索・撮影・紹介している趣味コンテンツです。
※内容については正確な情報とは限りませんのでご了承ください。
※撮影場所については、部品取りやいたずら防止のため一切シークレットです。
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