人生いろいろ、車生もいろいろ。
備後の道路脇で見つけた 朽ちゆく車たち。
凹み、錆び、コケ、ヒビ割れていても美しい 古き時代の宝物。
どんなドラマがあったのだろう…。
誰が呼んだか、草むらのヒーローたちを 小学6年M.Kくんが撮りました。
第85回
草ヒロ(廃車)data ■メーカー:スズキ ■車種:キャリーバン(9代目 GA標準ルーフ2WD MR 4F) ■年代:1991年~1993年 ■場所:井原市南部
狭いアスファルト道の終点、民家裏の畑に彼女はいました。
遠巻きでもよく見えるキミの赤い姿。
景色の中に溶け込むにはちょっと無理があるほど、抜群の存在感を放っていました。
前世である郵便車丸出しのボディには、お馴染みの〒マークと郵便局名が今でもはっきりと残っているね。
どうやらここから少し離れた里庄町で活躍していたことがうかがえます。
日当たりの良い畑の斜面に倉庫代わりとしてポツンと座り続け数十年。
車体は徐々に土の中に沈みつつありますが、レトロっぽい生き生きした丸目のフロントマスクや、UV焼けしているにしては未だにキレイなボディのおかげか、まったくくたびれた感はありません。
グレードを表すエンブレムなど見当たらないけど、可愛い丸目なので、ベースグレードのGAと分かります。
キミと同じように、払い下げ後こうして畑で頑張っている仲間たちを今でもちらほら目にすることがあるけれど、販売されたのが実質1年のみの9代目キャリイバンは珍しいね。
1982年、7代目キャリイバンの時にエブリイに名前を変え、キャリイバンは一旦消滅。
1991年、9代目でキャリイバンとして復活するも、10代目ではまたもやいなくなり、結局以降はエブリイにバトンタッチし、キャリイバンとしては29年の歴史に幕を下ろしたんだよね。
現役時代には大切なハガキを丁寧に配達していたキミも、今では賑やかな食卓に美味しい野菜を届けるために、畑の真ん中で頑張っているんだね。
これからも畑の可愛いアクセントとして色褪せず、余生を過ごしていくことでしょう。
撮影許可、案内してくださったお家の方、ありがとうございました。
ちょっとうんちく
キャリイ(CARRY)は、スズキ(1990年9月以前は鈴木自動車工業)が製造、販売する軽トラック。
かつては軽ワンボックスカーのラインナップ(キャリイバン)も存在したが、7代目から中盤以降は独立した車名であるエブリイに移行している(例外的に9代目の初期はキャリイバンも併売されていた)。
9代目 DC51T/DD51T型(1991-1999年)
1991年9月
フルモデルチェンジ。車体寸法の規格変更に対応してキャビン自体が広くなり、居住性が向上した。
先代に引き続き、スクラムとしてマツダへOEM供給される。エブリイの下位モデルとしてキャリイバンが復活(但し、トラックとはシャーシ構造が異なる)。グレード構成は最廉価グレードの「KU」、中堅グレードの「KA」、最上位グレードの「KC」、農業従事者向けに特化した「農繁キャリイ」。「KU」以外の全グレードは異形角型ハロゲンヘッドランプが標準装備となり、「KU」のみ規格型の丸型シールドビームヘッドランプが標準装備となる。4WD全車、及び2WD車の「KC」はフロントディスクブレーキが標準装備となる。
1993年9月
仕様変更。2WD全車のフロントブレーキが全車ディスクブレーキとなり、更にタイヤとホイールも12インチ化された。
1993年11月
「キャリイバン」が「エブリイ」に統合され、キャリイバンは29年の歴史に幕を下ろした。ここからキャリイはトラック、1BOXはエブリイと完全に区別される。
wikipediaより抜粋
キャリイバン/エブリイ年表
・1964 スズライトキャリイバンFBD 初代
・1966 スズライトキャリイバン(L20V) 2代目
・1968 キャリイバン(L30V) 3代目
・1969キャリイバン(L40V) 4代目
・1972 キャリイバン(L50V) 5代目
・1976 キャリイ55バン
・1976 キャリイワイドバン 6代目
・1979 キャリイバン 7代目
・1982 キャリイバン「エブリイ」(エブリイとしては初代)
・1985 エブリイ 8代目(エブリイとしては2代目)
・1990 エブリイ 新規格車
・1991 エブリイ、キャリイバン9代目(エブリイとして3代目)
・1999 エブリイ 10代目(エブリイとして4代目)
・2005 エブリイ 11代目(エブリイとして5代目)
・2015〜 エブリイ 12代目(エブリイとして6代目)
諸元
スズキデジタルライブラリーより
パンフレットより
・一歩先ゆく実力です。キャリイバン
・気鋭の即戦力、キャリイバンが誕生しました。走り、積みやすさ、乗り心地。全てが一歩先ゆく先進のビジネスツール。静寂性を向上し、すぐれた運動性能を発揮するリヤミッドシップエンジンレイアウト、広くフラットで使いやすいラゲッジスペース、ゆとり居住空間に必要な装備を機能的に配した室内。そして街の視線を集める印象的なラウンドフォルムのボディ。活気あふれるビジネスシーンをいま、エネルギッシュに駆け抜けます。
・キャリイバンは思わずエライバン!と言いたくなるような充実ぶり。なるほどスゴイと感心するような徹底ぶりの1BOXです。様々な職業の多彩なニーズにしっかり応えるために、街から郊外まで、スピーディーかつ安心して配送するために。そして働く人が常に快適に笑顔で働けるように、ビジネスツールとしての走りを基本からじっくり考えた1BOX。それが全身エライバン。なるほどスゴイ、キャリイバンです。
ほか郵便車たちも見てね!!
第25回 4代目サンバー
第35回 TN-7
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※草むらのヒーローとは、旧車専門誌「ノスタルジックヒーロー」の人気読者投稿コーナーに由来する名前で、通称「草ヒロ」と呼ばれています。クルマ好きの間では草むらや空き地、山の中で放置され、ひっそりと朽ちゆく、もう動かないクルマたち(草ヒロ)を眺め、往年の活躍に思いを馳せ、情緒を感じる文化のようなものになっています。
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