草むらのヒーローたち No.030

人生いろいろ、車生もいろいろ。

備後の道路脇で見つけた 朽ちゆく車たち。

凹み、錆び、コケ、ヒビ割れていても美しい 古き時代の宝物。

どんなドラマがあったのだろう…。

誰が呼んだか、草むらのヒーローたちを 小学5年M.Kくんが撮りました。

 

 

 

第30回


草ヒロ(廃車)data ■メーカー:いすゞ自動車 ■車種:ベレット 4ドア1500DX ■年代:1963年〜1973年 ■場所:岡山県苫田郡


人形峠の手前、ビニールハウスの広がる畑の中に、日向ぼっこをしている彼女がいました。
和製アルファロメオの異名を持つ、国産名車のベレット。
レースで速い車は良い車という価値観を芽生えさせてくれたよね。
令和の今見ても、魅力的なボディラインが素敵でまったく旧さを感じさせないのは、よほど完成度が高かった証。
でも目の前の彼女にはグリルもライトもエンブレムも、過去の栄光もすべて見当たらず、グレードの見分けはお手上げです。
なんとなくレストアされそうな雰囲気で、廃車体となっても蘇るのを夢見て今日まで生きながらえてきたんだね。
異例に長い、丸10年にわたる車生を歩んだ彼女も、一代限りで絶版になってしまったのは、いすゞらしいといえばらしいのか…。
いすゞの乗用車があったことすら知らない世代が増えてきている中、いすゞにしかできないものづくりを活かして、進化した“新型ベレット”の登場を待ち望むばかりです。

 

ちょっとうんちく

昭和38年6月 に発表されたいすゞ・ベレット。ボディは根本的にはトヨペットのコロナとほとんど同サイズの4ドア5人乗りのセダン1種であったが、内外の仕様によりデラックスと スタンダードに区別される。様々な各種の要素を組み合わせることによってスポーツ風なものからタクシー用まで実に24種類のモデル が選択できるようになった。 更に特筆されるのはサスペンションで前は普通のコイルとウィッシュボーンによる独立であるが、後ろにはこのクラスの国産車としては 初の独立式を採用しロードホールディングの向上を図っていた。 車輌重量はベレット1500で915kg・同デラックスで930kg、1800ディーゼルで990kg・同デラックスで1000kg、 MAXスピードはガソリン車で137km/hディーゼルで110km/h・同デラックスで104km/h、メーカーによればガソリン 車のss1/4マイル所用時間は21.6秒と加速性能も1.5リットルクラスでは群を抜いていた。メーカーによる燃費率はガソリン車で 18km/リットル・ディーゼル車で21km/リットルであった。

 

 

主なデータ
ホイールベース 2350mm
トレッド前/後 1220/1195mm
全長 4090mm
全巾 1510mm
全高 1390(デ1405,デD1390mm)
最 低 地 上 高 205mm(デ220mm,デD1000kg)
車輌重量 915kg(D930,デ990,デD1000kg)
エンジン (ガソリン) 水冷直列4気筒OHVボアストローク79×75mm、総排気量1471cc、圧縮比7.5,最高出力63HP/5000rpm、最高トルク11.2mkg/1800rpm
エンジン(ディーゼル) 水冷直列4気筒OHV予熱焼室式ボア×ストローク79×90mm、総排気量1764cc、圧縮比22.0、最高出力50HP/4000rpm、最大トルク11.2mkg/2000rpm、乾燥単板  機械操作
クラッチ 4速  2,3,4 速シンクロメッシュ
ギアボックス 1st 3.746, 2nd 2.320, 3rd 1.508,top 1.000
最終減速比(標準) 3.778(デ4.111)
タイア(標準) 6.00-13-4P(デ5.60-14-4P,デD6.00-13-4P)
最高速度 137km/h(デ110km/h,デD104km/h)
登坂能力 sinθ0.405(D 0.400, デ 0.395, デ 0.413)

 

和製アルファロメオことクーペのベレットGT(ベレG)はレースで大活躍しました。

昭和39年4月6日、いすゞ自動車からベレット1500セダンをベースにした本格的なスポーツクーペ・ベレット1600GTを 97万円で発売すると発表された。1600GTはこのクラスのものとしては国内で一番早く作られている。 2ドア、2+2座クーペ、ボディのプレスはドア・ルーフを除きセダンと共通だが、車高は40mm低く1350mmしかない。 エンジンはベレット1500を基礎として新たに開発された1579cc(83×73mm)で、シリンダーヘッドは軽合金製圧縮比は 9.3。キャブレターは標準がSUタイプ2個で、別にレース仕様としてダブルチョークのダイヤフラム型2個が準備されている。 連続高速回転に備えて、クランクピン径はベレット1500に較べて太く、カラムシャフトベアリングの数も6個に増して 動弁機構の剛性を高めてある。フライホイールも軽量化され、加速性を向上させている。 昨年秋の東京モーターショーにベレットGTが発表された時(その時は1500GT)、観覧者は中央のベレットよりも遠慮がちに隅に 置かれたベレットGTの方に多かった。スタイリングを欧米のデザイナーに依頼したというスポーツカーやツーリングカーがかなり展示 されていたショーであったが、それらと比較してもく遜色のない純日本デザインのベレットGTは好評そのものであった。 ベレットGTの特徴は、セダンをスポーツ化することだけでなく、ボディ・内装までスポーティに手を加えたこと。 クーペにされたベレットのタマゴのボディは見るからに精悍で、スポーツマンのパーソナルカーとしての雰囲気を持っている。 しかしベレットGTのようなGTは、オープンボディのものと違い、本来ヨーロッパ大陸の長距離旅行に便利な公道上の 高速ツーリングに属している。グランド・ツーリング(大旅行用車)の諸元にあるように、あらゆる天候にも耐えられる快適な居住性は セダンのものより優れている。全体に英国調の感じが強く、それに合わせたカントリー・ドライビングをするのもこの ベレット1600GTの楽しみのひとつといえる。

 

エンジン
ベレットGTのエンジンは、ベレット1500のものを性能本位にチューニング・アップしたもので、市販用としてはかなりハイ・ チューニングに属する。圧縮比も9.3と高く、SU型(日立HJD38W)のキャブレターをツインにしアルミヘッドを採用して 88PS/5400rpmの出力をもっている。このエンジンの特徴はトルクが広いレンジにありそれもエネルギッシュなレスポンスとなって反応する。
(栃木いすゞ自動車株式会社 HPより引用)

 

 

 

※懐かしい廃車たち(出来るだけ天然モノ)を小学生撮影隊と一緒にのんびりと探索・撮影・紹介している趣味コンテンツです。
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